数年前までは、コンピュータ・チェスのIBMディープ・ブルー、コンピュータ将棋のポナンザ、コンピュータ囲碁のα碁、IBMの質問応答システムのワトソンなどに世の中が驚いていたが、最近では、AIという語が、新聞・雑誌・TVに毎日のように踊っていると感じるほどである。自動運転車(ロボット・カー)、AIスピーカー、医用診断AI、顔認証、投資判断AI、 社会問題解決型AI、そして、ネットで全てのものが繋がるIoT、ビッグデータの獲得、ディープラーニングの技術等々。AIとは「人にしかできないと思われていた知的な行動を機械にさせること」と多くの人に理解されてきたが、いよいよそのAIの実社会への実装の時代と言うことか。しかし、実社会は技術だけで成り立っているわけでない。実社会は人が生きる空間、そこでは社会と環境、責任概念、倫理感、価値観、しあわせ感、等々とまことに複雑である。技術の社会実装はそれが社会的に受け入れられることである。AIだってその頸木を逃れることはできないだろう。AIと社会、どんなことを考えておくことが必要なのだろう。ざっくばらんに議論をしてみたい。日頃、第1線でご活躍の研究者に集まって頂き自由な討論をして頂ければ幸いである。
(世話人代表 名古屋大学・愛知県立大学・豊橋技術科学大学 名誉教授 稲垣 康善)