Kフォーラムの前身DKフォーラムは、平成5年6月「21世紀技術の夢−人工知能」と題する記念講演会でスタートした。この講演会は発足して8年目を迎えた人工知能学会に企画、出演をお願いしたものである。爾来18年を経て世の中はすざまじく様変わりをした。無論インターネットによるネット社会の出現である。ネットを覆う情報雲海から析出される大規模データベースの上で、瞬時、瞬時にどれだけの量の計算が消費されていることか。いま情報端末に接して知性なり感性なりを味わうことがあれば、それは人間でなければAIが醸し出したものである。もしAIがネット上でさらに豊富な知識を集積することができて、推論パワーをさらに強力に、柔軟に、多能にすることができれば、人は知の頂点に今一歩近づく機会を得るかもしれない。知の頂点とは全知全能の理想の場所であり、あらゆる個の知悉と、あまねく事柄の理解と、時空からの脱却が行われる場所である。これが前掲の「21世紀技術の夢」であったかは定かでないが、単なる幻想で終わるものではないだろう。知的なコンピュータプログラムを作る興味から始まったAIの研究は、これからどちらの方向へ向かうのだろうか。今回のKフォーラムは、人工知能学会設立25年を期に、学会運営の現役、OBを交えて語り合うことをその趣旨とする。 |