物の存在、数の存在、記号の存在、命題の真偽、推論の真偽、文の意味、状況の意味、行為の正当性等々、これらは全て情報科学の係ることがらであり、科学における推論、技術による操作が行われるときは、これらのことがらの奥底には事実、現実、真実、無矛盾、無誤謬、合目的といった広い意味での、我々の存在自身を支えるRealityが約束されており、そのことが追及されているように思われます。
Realityの中には、例えば整数の存在のように神が与えた恒真、不変とみなされるものもありますが、一般には、これは社会、文化に強く依存し、時代相の中には、今の世相のように、価値観の多様化、あるいはゆらぎによって、Realityの喪失が疑われるときもあります。さらには、近未来においては、技術革新により「超現実」的なコンピュータやアンドロイドの出現も予想されております。このような先行きの見え難い時代を前向きにとらえて、情報科学技術はいまこそ何をなすべきかを論じたいと思います。