■第7回Kフォーラム

情報科学のルネッサンスを語る−
そしてこれを若者にどう語り継ぐか

開催日:平成19年8月9日(木)〜11日(土)
会場:ホテルアソシア高山リゾート


《 開催趣旨 》
 「情報科学の萌芽の時から半世紀余がすぎ、IT技術なしには現代社会が考えられない昨今のありようでありますが、ムーアの法則に支配されて安価な革命はこれからも続き、今の流れがすぐに変わるとは思えません。一方、成熟したと思われている今の情報科学を取り巻く状況は、ユビキタス、情報ネットワーク、セキュリティ、E−サイエン ス、ウェブ・メディア、バイオインフォマティクス等、なかなか華やかであります。しかし、IT依存になった今の世相をみると、多くの人々は作られたITの壁のこちらに安住してただ便利と効率と利益を追い、批判と創造の精神は失われて、世の中はかえって暗黒の時代に突入するとさえ危惧されます。今後果たして情報科学の学問が深められ、新生情報科学の芳香が若い学生を魅了することができるようになれるか、情報科学の行く道も気にかかります。
  情報科学研究の第一線でご活躍の研究者にフォーラムの形でお集まりいただき、我が国の情報科学技術の研究、情報教育の目指す方向、IT社会のゆくえ、など日頃感じておられることを、自由に発言、討論いただき、それぞれ参会の皆さまが何かを感じてお持ち帰りいただければという目的で開催する」

《コーディネータの弁》
 「形成期の情報科学の中核にはチューリングマシンがありました。この機械を、テー プと制御部との知的インタラクションのモデルとみなせば、今は、テープは環境と化し、環境は社会からの生体内部にまで拡大されているような状況です。また制御部は集団化して相互に作用し合うだけでなく、制御部自体が環境の中に埋め込まれるようになり、コンピュータの存在は、社会性や身体性を伴ってとらえざるをえなくなったとも思われます。つまり情報の科学・工学は、この半世紀あまりの間に自らがもたらした著しい変革のものに自らの身を晒すことになりました。このような状況において、過去コンピュータサイエンスを柱に描かれた情報科学・工学の構図(あるいは情報科学・工学のカリキュラム)は描き直されるべきでありましょうか。もしそうだとすれば、主題(学問のコア)を何にとらえればよいのでしょうか。それは、いまにして「情報」でしょうか。否、その必要はなく、コンピュータは核として不滅である。いや、いや、科学、工学にも創発や進化がある。それを教えなくてはケータイの眠りに落ちた若者の目は覚めないだろう・・・」
  このような話題、あるいは関連してかねてお考えの事柄について、先生のご専門の研究分野の歴史、現状、将来展望を背景にご発言、ご提言いただけたら幸甚に存じます。そして皆さまのご意見が情報科学・工学の研究、教育界への提言に繋がるよう努力してみたいと考えております。
  なお、ご参加を願う方々の専門分野は計算論、計算機、ソフトウェア、言語、AI、メディア、ウェブ、ロボット、脳科学などです。
世話人代表 福村 晃夫(名古屋大学・中京大学名誉教授)



プログラム
(敬称略)
8月9日(木)
〔1〕はじめに
1 14:10
世話人代表 福村 晃夫(名古屋大学、中京大学名誉教授)
〔2〕分析・展望
2 14:40
志村 正道(武蔵工業大学環境情報学部 教授)
3

15:40

辻 三郎(大阪大学・和歌山大学名誉 教授)
 

16:40

休 憩
4

16:50

阿部 圭一(愛知工業大学経営情報科学部情報科学科 教授)
 

17:50

討 論

8月10日(金)
話題発表と討論
〔3〕コンピュータシステム
5 9:00
落水 浩一郎(北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科 教授)
6 10:00
鈴木 英之進
(九州大学大学院システム情報科学研究院情報理学部門 発見科学講座 教授)
7 11:00 安浦 寛人
(九州大学大学院システムLSI研究センター センター長)
 

12:00

討 論
[4]ウエブ
8 13:30 田村 浩一郎(中京大学情報科学部 教授)
[5]ロボット
9 14:30 神田 崇行
(株式会社国際電気通信基礎技術研究所ATR知能ロボット研究所 上級研究員)
  15:30 休 憩
10 15:40 臼井 支朗(独立行政法人理化学研究所脳科学総合研究センター
ニューロインフォマティックス技術開発チーム チームリーダ)
[6]知能・言語
11 16:40 大須賀 節雄(東京大学名誉教授)
  17:40 討 論

8月11日(土)
12 9:00
辻井 潤一(東京大学大学院情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻 教授)
[7]結び
13 10:00
稲垣 康善
(愛知工業大学経理情報科学部情報科学科コンピュータシステム専攻教授・名古屋大学名誉教授)
  11:30

昼食後・解散