■第13回Kフォーラム

「ざっくばらん」フォーラム2
開催日:平成25年8月1日(木)〜3日(土)
会場:ホテルアソシア高山リゾート


  一昨年3月、畑も街も総なめにする津波の波頭を映すテレビを見て、何か絞めつけられるような、おぞましい生理的反応を覚えました。これは確か前にもあった。そう、それは67年前、雨のように降りかかる焼夷弾の下でもがく自分でありました。これは破壊、それに尽きます。そして最近テレビで見た一挙に広がる反日デモの荒れようにも既視感がありました。思い出したのは、終戦末期に印刷された日本音響学会誌の裏表紙にあった「電話も兵器」というある通信機会社の広告でした。確かに電話は兵器になりうるようです。ハッカーによる報復的攻撃の新聞記事も読みました。ハッカーはホワイトノイズ的かと思っていたのですが、これでは有色です。以上の事実は何れも既視的なもので、IT技術が招来した新しい社会にはまだ本当に新しいものは無いのかなという気がします。
 昔から破壊と無秩序の後には無政府主義が現れるようです。この言葉には“主義”が付いているから哲学があるのでしょう。ここからは新しい芽が吹き出します。コンピュータネットワークによるサイバー化は多くの秩序を破壊しましたが、私は、ビッグデータのダイナミズムから、なにかグローバルな、安定してコモンな、市民層とでも呼ばれうる分厚な社会層が現れないかと期待しているのですが、私の存命中は無理かもしれません。
 というような社会情勢なのですが、あるいはそれだからこそ、情報科学技術の基礎研究について、その必然性と重要性に疑いを差し挟む者はいないでしょう。情報は既にそこにあるものとして存在するのではなく、活き活きとして生まれて巳まないものであり、その現出の契機に寄与するのが情報技術であると考えます。情報はことがらをつなぎます。これは生命が作るつながりと全く等価なものです。それゆえ生命の研究が続く限り、情報の研究も、同じ意義のもとで続くでしょう。



プログラム
(敬称略)
8月1日(木)
14:00 フォーラム開会
はじめに−世話人代表 挨拶
1 14:15
世話人代表 福村 晃夫(名古屋大学・中京大学 名誉教授)
2

14:25

「大学入試問題を解く「ロボット」と「知能ロボティクス」
稲邑 哲也(国立情報学研究所 情報学プリンシプル研究系 准教授)
3

15:25

「音声・言語と行動の情報処理」
北岡 教英(名古屋大学大学院情報科学研究科 准教授)>
4 16:25 「計算解剖学」
森 健策(名古屋大学情報連携統括本部情報戦略室 教授
5 17:25 討論

8月2日(金)
6 10:00
「クラウド時代の音声情報処理」
岩野 公司(東京都市大学メディア情報学部 准教授)
7 11:00 「自然言語理解プロセスのモデル化とシステム化を目指して」
石崎 俊(慶応義塾大学 名誉教授)
8 12:00 午前討論 
9 14:00
「ハプティックインタフェースSPIDARについて」
佐藤 誠(東京工業大学精密工学研究所 所長)
10 15:00 「柔らかいCGモデルの実現」
宮崎 慎也(中京大学工学部メディア工学科 教授)
11 16:20 「未来創像学のすすめPart2 〜SF映画に学ぶ情報化社会の近未来予測」
田村 秀行(立命館大学総合科学技術研究機構 教授)
12 17:20 午後討論 

8月3日(土)
13 9:00
「パーソナルデータからの気づきの創発」
−パーソナルゲノムとシティズンサイエンスによるアプローチー
城戸 隆(株式会社理研ジェネシス 研究員)
14 10:00

「カテゴリー認知と脳の神経情報表現」
鯉田 孝和(豊橋技術科学大学エレクトロニクス先端融合研究所 テニュアトラック准教授)

15 11:00 討論